秋号
2000年11月

 冬号紅葉狩りも時期を過ぎ、朝晩が肌寒く感じる頃になりました。今年は、心なしか秋が短いように感じられます。11月に入り、暦はそろそろ今年も後一枚を残すところになりました。

  暑くてたまらなかった夏が過ぎ、初秋の頃から少し続いたお産は、何故かどの子ども達も予定日より少し早い時期に陣痛が始まったり、妊娠の10ヶ月にようやく入ったばかりで、破水してお産になった方もありました。小柄な子ども達が、今月ようやく一ヶ月検診の時期となりました。少しばかり小柄な身体で、家族が心配しながらも大切に育ててくださり、幸いにもお産の当日早い時期からの母乳育児を勧めていることもあり、思いがけず大きくなった顔を見ては安心しています。

  先日は、この年末から来年の春に向けてこの助産院でお産を予定している方々を対象に、ペアレントクラスを開きました。言い換えれば両親学級です。
  一般病院の場合は、お産前の方を対象にした母親学級を見かけますが、ここでは、夫も自由参加でお話を聞きに来られます。多分、この機会にどんな所か、物見遊山の気配も感じられます。このペアレントクラスでは、一般的によく言われる産み方のようなことは、あまり大切とは考えていません。具体的なこのクラスでのお話のメニューは、またの機会にこのホームページの中に、専用のコーナーを作ってお知らせしたと考えていますが、何より大切にしていることは赤ちゃんの誕生がそのお家にとって、大切な家族の誕生であることと、生まれてくる子ども達は、一人一人が人格を持った人間であること。その生命は、生まれるその時には、特に大切に十分な保護を受けられるように、そして赤ちゃんであるその子ども達には、産まれながらにして、お母さんの母乳をもらえる権利があることを、よもやま話の中で伝えたいと考えています。妊娠の期間中に、前期と後期の2回に別けて行なっています。

  こちらの地域には、多くの産科施設があり、その中で助産院でお産をされる方は、都市部の助産院のお話に比較すれば極少ないように思います。いろいろな仕事をしなければいけない多忙な時には、わざわざ日を決め、時間をとってこのクラスを開くことを、ずっと以前はためらうこともありました。外来の妊婦健診の時にあわせて、簡単にお話すれば済むように感じたり、形になりにくい保健指導はその意味を理解され難いように感じることもあります。そんな時にいつも思い出すのは、私の開業助産婦での恩師が、

  「学級はせなアカン!! 親を育てること、親になることを伝えなアカン!」

と言われたことです。小心な自称弟子としては、ウーンと唸りながら現在に至るわけですが、最近ようやく恩師の言葉が実感できるようになりました。

   子どもを産むことだけでは、親になり得にくい時代になりつつあるように思います。母乳で、赤ちゃんにおっぱいを吸わせることを、これほどの大変さを持って口にしなければいけない時代に変わって来ているように感じられています。普通に当たり前に、生まれた子どもが、母親の側で眠ることもなんだか特別でもあるかのように言われ、父親やその子の兄弟姉妹が、やさしく頭をなでることも誰かの許可を得なければならなくなり、産後のお母さんのお布団に上の子達が照れながらもぐりこむのも、特にしかる事でもないように私は思います。

  家族が増え、妻が母になり、夫が父に変わる時。それを極当たり前のこととサポートできる助産院があり、助産婦がいる。いつもペアレントクラスを終えると、きちんと話せたかしら、伝えたいことを言い忘れなかったかと、少し反省したりしています。

  来月は、もう師走。
年末に向けて、気ぜわしくもあり、今年はホントのミレニアム?
霙が降って、雪になっても、日本全国どこでも赤ちゃんは生まれます。
最近の外来での健診では、もう来年の春から夏前の方々が、お産の相談に来られたり、ぼんやりしている頭には、とても気がそこまで回らずついていかない時もあり、慌ててカレンダーを見ている始末です。

  少し早いかもしれませんが、来年もよい年でありますように。
  グローバルには、世界中が平和でありますようにと願いつつ、二一世紀を楽しみに迎えたいと思います。

                        2000年11月 吉日