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つれづれ日記2011

 過去分から一部掲載致します。


春号


2011年春号


この日記をご覧頂く皆様は、お変わりありませんでしょうか?
世の中では、先月3月に、東日本大震災が起こりました。
連日の報道には、胸が痛み、心も重くなりますが、自分にできることとして、いくつかの方法で社会に対して、協力しています。

助産院の方では、これまでと変わりなく、母乳育児を応援し、希望される方へは自然なお産の場を提供しています。
昨年2010年2月には、以前から学んでいた米国のホリスティック栄養学の分野で、博士の学位を取得しました。
『Doctor of Philosophy in Holistic Nutrition 』として、健康と栄養のコンサルティングをすることがさらに充実して、助産師としての仕事とあわせて、今後も必要な方々へのサポートを継続していきます。

さて、このつれづれ日記も、お休みをしている間に、平成23年になりました。
石川県で開業助産師として届けをしたのが、平成2年でした。先日書類の整理をしていた折、たった1枚の届出受理書を見つけて、感慨深く、当時に思いを馳せました。
その頃、昭和から平成に元号が変わり、出生証明書を書き間違えないようにと、気をつけていたことを思い出しました。
これまでも、数え切れないほどの出生証明書に、分娩介助者として、関わった責任を署名してきました。

毎年たくさん頂戴する年賀状に、今年は、開業当初からの知人が、開業から20年のお祝いを添えて頂いたことがあり、かれこれ長い間といえるほど、地域の母子保健に関わったかと不思議な思いを感じています。
また、季節の折々に、お手紙など頂く方には、私が始めて開業助産師としてお産のお世話をさせて頂いた方では、その子供は間もなく二十歳になるとお知らせを 受け取りました。その子が生まれた当日の、のどかな昼下がりに、幸せな面持ちで、我が子の寝顔に見入っておられたご家族の姿を、つい数日前のことのように 思い浮かべることができます。
どんな青年に育ったか? 大人は歳を重ねても、体格などは、さほど代わりませんが、子供は、とても変化が大きくて、数年後に出会ったりした時は、子供たちより、私の方がその成長に驚いています。
どの子も、私より背丈も大きく、見上げることもしばしばです。
それでも、幼かった頃の笑顔が、重なり合って、何だか楽しい気持ちになります。

そんなことを、思い出しながらも、この日記を書いている今も、助産院の一階にある和室では、生まれたばかりの赤ちゃんが、スヤスヤと眠り、お母さんと過ごしています。先ほどまで、親戚姉妹、ご家族総出での面会に賑わっていました。

人が生まれて、育ち、生きることは、普遍のことと思います。
頼助産院が、これまで続けてきたことも、当初から変わりなく、赤ちゃんにはおっぱい:母乳育児を応援することと、その人らしく家族で楽しいお産と子育てをサポートしていくことです。その人に役立つと思うことを、正直に伝えてきました。

これまで、私が関わって、未来に繋がる生命の手助けをした子供達も、大きい子たちは二十歳を過ぎて、社会人になっています。小さな子達は、まだおっぱいタイムを過ごしており、その兄弟姉妹は小学生から思春期に入っています。
この数年、世の中の事件事故には、人の命を大切に思えないような悲しい報道が続きました。特に、子供の年齢がその対象になることが、これまでよりも増えてきているようで、懸念しています。
その子供にも、どの人にも、生まれた事実と、人との関わり、つながりがあったはずと思います。
人の命は大切で、他人の命も大切で、どちらもかけがえのないもの。
当たり前のことが、普通に伝わりづらくなってきているのか?
何かが、変わってきているような?何かを忘れ始めたのか?
それとも、大人達が、伝えられていないのか?と気がかりになりました。

私達は、助産師としていつも、生まれてくる生命に、その子の未来に希望を重ねて、幸せを願って関わっています。これまでも、外来 では一人一人に生命の尊さを、普通に気づけるように、伝え続けてはいますが、他にも、何か、それぞれに考え気づく機会を作る時期が来たような気持ちがして いました。漠然とした、未来への気がかりのような気持ちです。

そんな昨年のある日、映画『うまれる』の製作段階の情報を知りました。
その内容は、助産師として、ただハッピーなことだけではない、幸せの裏側にある悲しみにも出会う私達の仕事にも通じるものがありました。
これまでの経験全てが、その映画の中に重なりあうように感じました。
たくさんの産む人の人生、子供の未来、幸せも苦労も心配も入り交ざって、人として、何かを心で感じられる映画だと直感しました。どれほど大切に思っていても、先月の大震災のように、自然災害が無常に現実の幸せを壊してしまうこともあるでしょう。 言葉だけでは伝えにくい、またわかりにくいことでも、この映画を、これから未来のある子供達から、いろいろな人にその眼で見てもらうことで、何かに気づき、考え、心に感じる機会になるのではと思いました。見る人の、自由な感性で、自由に受け止めてもらえればと思います。

人の生命のつながりを、この映画の上映会を開催することで、関わりのある全ての人たちへの贈り物にできればと思います。数人の共感してくれた仲間と、今夏7月3日、金沢21世紀美術館シアター21にてに開催します。それが、映画『うまれる』自主上映会 in 石川です。

                      2011年 4月 吉日
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2011年7月4日 追記
上映会は終了しました。みなさまありがとうございました。
















●令和6年石川県能登半島地震の後も、当助産院は変わりなく業務継続しています

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